古民家に浮かぶ、ダイニングテーブル
こんにちは、埋金木工所です。
今回の工事は古民家のダイニングテーブル施工。
主役は新しく差し替えた2本の柱と、それを貫通する一枚板のテーブルです。
一枚板はウェンジ。


削って、磨いて、仕上げていく工程はいつも通りですが、今回は失敗が許されない。
替えの効かない一枚板だからこそ、柱が通る穴位置は何度も何度も確認し、慎重すぎるほど慎重に。
穴あけはノコで大まかに切り開き、最後は鑿で微調整。
柱もまた、これから先の数十年でわずかに伸びたり縮んだりします。
その動きを受け止められるよう、穴のサイズにはほんの少しだけ余裕を持たせています。
すべての下準備が整ったところで、いよいよ山場。
柱をジャッキアップし、重さ200キロを超える一枚板を柱に通していきます。
建築用のジャッキでは役不足。
車用の3トンジャッキを駆使し、大人4人がかりで慎重にスタート。
家自体も持ち上げる工程になるため、入念すぎるほどの段取りとイメージトレーニングを重ねてからの作業でした。
途中からは、大工だけでなく電気屋さん、設備屋さんも急遽加勢。
現場が一体になって、少しずつ、少しずつ、板が所定の位置へと収まっていきます。



こうして、貴重な一枚板や柱を無駄にカットすることなく、
まるで宙に浮いているかのような、美しいダイニングテーブルが完成しました。
大規模改修工事だからこそ実現できた取り付け方。
正直、このアイデアを思いついたときは「机上の空論かもしれない」と自分たちでも思っていましたが、無事に成功してひと安心です。
木の重さ、強さ、そしてしなやかさ。
そのすべてを最大限に感じられる、いいテーブルになったなと思います。

竣工ではこんな仕上がりになりました。お客さん以上に私が満足しておりました。

古民家改修における下地工事と「ちょうどいい性能」
こんにちは、埋金木工所です。
今回も引き続き、古民家改修の現場について。
コンクリート土間工事が終わり、現在は内部の壁・天井の下地工事を進めています。古民家改修で特に神経を使うのが、この「下地づくり」の工程です。
まず壁面下地は、レーザーを使いながら一本一本、真っ直ぐになるよう丁寧に組んでいきます。ただし古民家は、現代のプレカット住宅とは違い、もともとの柱や梁が手仕事で建てられています。工事の初期段階でジャッキアップを行い、柱の水平・垂直は可能な限り修正していますが、それでもどうしても倒れや振れが残ります。そこをどう納めるかが、大工の腕の見せ所です。

最終的には左官さんが壁を珪藻土で仕上げるため、左官仕事がしやすく、なおかつ仕上がりが美しくなるよう、下地の精度には特に気を配っています。この一手間が、結果的にお施主様の満足度につながると考えています。
天井も同様に珪藻土仕上げとなるため、将来的なひび割れを防ぐ目的で、一般的な天井下地よりも強度を持たせています。下地のスパンを短くし、材の本数も増やし、使用する材自体も太めのものを選定。吊り木の数も大幅に増やし、見えなくなる部分こそ手を抜かない施工を心がけています。
また、西側の一面については地震対策として構造用合板を使用し、「面」での強度を確保しています。古民家は新築住宅とは異なり、耐震というより免震に近い考え方が必要です。むやみにガチガチに固めてしまうと、地震の際に力が一部へ集中し、柱や梁の破断につながる恐れがあります。筋交いや貫の役割を理解したうえで、固める場所と力を逃がす場所を見極めながら設計・施工を行っています。これは、在来工法や手刻み、そして100年以上の古民家工事に携わってきた埋金木工所ならではの強みだと思っています。



断熱材については、埋金木工所では今でもグラスウールをメインに採用しています。発泡ウレタン吹付やセルロースファイバーなど、性能の高い断熱材も増えていますが、コスト面だけでなく、10年後・20年後のメンテナンスや改修まで考えると、グラスウールに軍配が上がると考えています。施工方法さえ間違えなければ、必要十分な断熱性能をしっかり発揮してくれます。
必要以上に過度な断熱や気密は、かえって家や住む人の健康を損なうリスクもあります。家の性格や素材を理解し、その家に合った「ちょうどいい性能」を目指すこと。それが古民家改修の本質だと、改めて感じながら作業を進めています。
【ご報告】商工会青年部主張大会で最優秀賞・県知事賞を受賞しました!
私ごとですがこのたび、第56回「商工会青年部の若い経営者の主張大会」佐賀県大会にて最優秀賞(県知事賞)を受賞することができました。

6月4日に行われた地区大会を突破し、7月2日に行われた県大会へ。知事・市長・国会議員をはじめとする多くの来賓や審査員の方々が見守る中、緊張感のある大舞台でしたが、仲間たちの応援や支えに力をもらい、無事に発表を終えることができました。
この主張大会は、単なるスピーチではなく、自分自身が経営者としてどう歩んできたのか、どんなことに悩み、挑戦し、地域や社会とどのように関わってきたのかを見つめ直す場です。
埋金木工所の三代目として、家業を継ぐ決意をしたときの思いや、素材や伝統にこだわるモノづくりへの想い、青年部活動で得た学びやつながりなど、自分のこれまでの道のりを振り返りながら「若き経営者」としての主張を組み立てました。
今回の受賞を機に、これからの生き方や在り方についても、より明確に意識するようになったと感じています。
そして次なる挑戦は、9月10日に佐賀アリーナで行われる九州大会です。さらにその先には、11月に岩手県で開催される全国大会が控えています。
大会に向けては日々練習の毎日ですが、話すたびに自分の中でも新たな気づきや覚悟が生まれています。
これまで支えてくださった皆さま、そして応援してくださる皆さまに、改めて感謝申し上げます。九州代表、そして全国大会出場を目指して、これからも努力してまいります!


下記の佐賀新聞でもご覧いただけます。
古民家再生 床からまるごとリセット。下地工事が進んでます!
こんにちは、埋金木工所です。
今回は古民家のリノベーション現場から、床下地工事のお話です。
古民家って、天井が低かったり、鴨居が頭に当たったりしますよね。このお家もそうで、特に背の高いお客様がいらっしゃると、かなり気を使う高さ感でした。
そこで今回は思い切って、古い床・土台・敷居を全部撤去して、床を一度リセットすることにしました。

■ 解体してみると、やっぱり…
いざ壊してみると、やっぱりというか想像以上にダメージが…。
長年の湿気やシロアリの被害で、土台や大引き、根太がボロボロに。特に土に近い部分はほとんど原形をとどめていませんでした。
そこで今回は、新しく土台・大引き・根太を組み直して、しっかりした構造に。これで今後も安心して暮らしていただけます。

■ 断熱材もたっぷりと
床下には厚みのある断熱材を隙間なく入れています。冬の冷え対策としても、夏の暑さ対策としてもかなり効果的。
この上には地場杉の30ミリ厚フローリングを貼っていく予定です。足触りも良く、調湿性もあって、快適に暮らせる床になります。



■ 壁や天井の下地も着々と
床と同時進行で、壁や天井の下地工事も進んでいます。今回はすべての仕上げを珪藻土仕上げにするので、下地の精度がとても大事。
特に天井は割れやすいので、木下地からしっかり組んで、石膏ボードも丁寧に張っていきます。
完成はまだ少し先ですが、こうして目に見えないところから丁寧に直していくことで、見た目だけじゃなく、暮らし心地もしっかりアップしていきます。
次回は断熱工事や仕上げの様子をお届けできればと思います!
古民家に、今の知恵と技術を 快適な土間と安心の基礎工事
こんにちは、埋金木工所です。
今回は、古民家改修の現場から、土間と基礎のコンクリート打ちについてお話ししたいと思います。今回の古民家改修では、この工程がひとつの大きな山場でした。

古民家の柱は、従来は石の上に直接建てられていることが多く、地震や湿気への備えが不十分なケースもあります。今回は、構造の安定性と将来のメンテナンス性を見据えて、柱がコンクリートに“乗る”構造を採用しました。柱のコンクリートに接する部分はあえて切り欠いでおき、コンクリート打設後は直接埋め込まず、上に乗せる形にしています。
この方法のメリットは、たとえ100年後にコンクリートに接していた部分が腐ったとしても、構造的に柱を差し替えられるという点。長く使うことを前提とした、昔ながらの木造建築の知恵に、現代の施工技術を加えた方法です。
土間についても、快適性を第一に考えました。まず砕石でしっかり転圧し、その上から砂で仕上げて天圧。防湿シートを敷いたあとに断熱材を施工し、最後に生コンを打設します。これにより、冬場の底冷えが大幅に軽減されます。
実際に以前の現場では、外が氷点下で雪が積もるような真冬でも、室内の土間は冷え込みがほとんどなく、直接手をついても平気なほどの断熱性能を実現しました。
今回の古民家では、建物のおよそ半分のスペースが土間として使われる設計になっているため、お施主様が快適に過ごせるように、構造や施工方法を相当悩みながら決定しました。暮らしの中心にある土間だからこそ、しっかりと作り込んでいくことが、古民家再生の大事な一歩だと感じています。



↑砕石→天圧→防湿シート→断熱材→配筋。見えなくなる部分こそ、しっかり丁寧に。

↑古民家の構造を支える重要な基礎工事。ベテランから若手まで、息の合ったチームで挑みます。
ハイエンドオーディオフェア2025に行ってきました
こんにちは、埋金木工所です。
先日、スピーカー作りの研修も兼ねて、福岡国際会議場で開催された「ハイエンドオーディオフェア2025」に足を運んできました。

会場に一歩入ると、ずらりと並ぶのは数百万円から数千万円クラスの超高級スピーカーやアンプたち。見た目も造りもまさに芸術品。オーディオ好きならずとも、思わず息をのむような空間でした。
僕らが普段手がけているスピーカーは、ビンテージのフルレンジユニットを使った、どちらかといえば素朴でアナログな音づくり。対して、会場で鳴っていたのは最新のデジタル技術や複雑なネットワーク回路を駆使した、極限までチューニングされた現代のハイエンドサウンド。音も迫力も素晴らしいです。
まさに真逆の世界とも言えるこの音作りを体感しに行ったのは、ただ「新しいものを見に行く」ためではなく、自分たちの音づくりの軸を再確認するためでもありました。
最新の技術や素材、設計思想を知ることで、逆にビンテージユニットが持つ“素直で濁りのない音”の魅力や、木箱から鳴る響きの豊かさ、そして手仕事ならではの温かさを再発見することができました。
いわば今回は、温故知新の逆バージョン。
“新しきを知って、古きをさらに深く理解する” そんな時間になった気がします。
これからも僕たちは、過去の名機たちに敬意を払いながら、
自分たちの感性と技術を磨いて音づくりを続けていきます。古くても良い音は、今の時代にも通用する。そんな信念を、少しだけ強くして会場を後にしました。
にしても、桁が違う。。。毎回思うけど家が建てれる金額〜。。。











